1 東京地方裁判所における自己破産手続の運用について
今回は、東京地方裁判所における自己破産手続の運用について解説します。
自己破産の申立ては、原則と
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今回は、東京地方裁判所における自己破産手続の運用について解説します。
自己破産の申立ては、原則として、申立人の住所地を管轄する裁判所に対して行います。
東京の場合、23区内に居住していれば東京地方裁判所本庁、多摩エリアであれば東京地方裁判所立川支部が管轄となります。
裁判所であれば、どこに申し立てても同じ扱いをしてくれると思われがちですが、実際には、自己破産手続の進め方や運用は裁判所ごとに異なります。
東京地方裁判所においても、本庁と立川支部とでは運用に明確な違いがあります。
2 本庁と立川支部の大きな違い ― 即日面接の有無
両庁の最も大きな違いは、「即日面接」の有無です。
東京地方裁判所本庁では、申立てが受理された後、申立人代理人は原則として3営業日以内に裁判官との面接を行わなければなりません。
これに対し、立川支部では即日面接は実施されていません。
即日面接では、裁判官から申立書の内容について質問がなされ、代理人がそれに回答します。現在は電話による実施が一般的となっています。
3 同時廃止事件と少額管財事件の振り分け
特に問題となりやすいのは、同時廃止事件として申し立てた場合です。
裁判所が同時廃止事件相当と判断し、かつ申立書類に不備がなければ問題はありません。
しかし、裁判所が同時廃止事件で進めることに疑問を抱いている場合や、書類に不足がある場合には、即日面接の場で少額管財事件へと変更されることがあります。
例えば、通帳については、過去2年分、かつ、申立前1週間以内に記帳したものの提出が求められますが、これが守られていない場合などは、調査不足として少額管財事件に変更される理由となります。コピーの不備などによる欠落であっても問題視されるため、細心の注意が必要です。
少額管財事件に変更されると、原則として20万円の管財人費用が追加で必要となります。これは申立人にとって大きな負担であり、代理人にとっても重大な問題です。
一方、当初から少額管財事件として申し立てる場合には、管財人費用を準備したうえで手続を進めるため、このような問題は生じません。また、その場合の即日面接は比較的簡潔に終了する傾向があります。
4 立川支部の運用
立川支部では即日面接がなく、裁判所が一定期間をかけて申立書を精査します。
不明点があれば裁判所から追加資料の提出や説明を求められ、それに適切に対応すれば、直ちに少額管財事件へ変更されることは通常ありません。
この点は、本庁との大きな違いといえます。
5 債権者集会の実施方法の違い
債権者集会は少額管財事件の場合に開かれるものですが、立川支部をはじめ多くの裁判所では、法廷などの個室で個別に債権者集会が実施されます。
他方、東京地方裁判所本庁では、大きな部屋に複数のブースを設け、一斉に実施される方式が採られています。
なお、同時廃止事件の場合は、免責審尋という手続きがあり、本庁ではこれに出席する義務があるのですが、立川支部ではそもそも免責審尋という手続きが省略されています(現在の運用ですので、今後変更があるかもしれません。)。
6 裁判所ごとの運用を踏まえた対応の重要性
このほかにも、自由財産の取扱いなど、裁判所ごとに細かな運用の違いがあります。
自己破産手続は全国一律の制度ではあるものの、実務運用には地域差があります。
そのため、申立てを行う裁判所の運用を十分に理解したうえで準備を進めることが重要です。
裁判所の実情を熟知した弁護士に依頼することが、円滑な手続進行のための重要なポイントといえるでしょう。